弁護士 新 英樹(AA法律事務所) > 記事コンテンツ > 土地境界トラブルの対処法とは?トラブル発生の原因も解説
隣人トラブルのひとつとして、土地の境界をめぐる争いが挙げられます。
今回は、土地境界トラブルが発生する主な原因と、対処法について解説します。
土地の境界をめぐるトラブルが発生する主な原因は、以下の通りです。
境界標となる塀などが存在しない場合、土地の境界が曖昧となり土地境界トラブルが生じやすくなります。
土地の境界には、筆界と所有権界という2つの種類があります。
筆界とは、土地が登記された際に不動産登記法によって定められた公的な境界のことです。
これは個人の合意によって勝手に変更することはできません。
一方で、所有権界は所有権が及ぶ範囲の境界であり、当事者間の合意によって決まります。
筆界と所有権界が一致していないことも土地境界トラブルの原因となりえます。
越境とは、建物の軒先や木の枝が境界を越えて隣の敷地に侵入している状態です。
越境が発生していると、土地境界トラブルに発展しやすくなります。
土地の境界をめぐるトラブルが起きた場合には、段階を追って以下の対処法を検討してください。
土地境界トラブルの兆候が見えたら、現地の状況を写真に収めておくことをおすすめします。
視覚的な記録は、後の話し合いや手続きにおいて有力な資料となります。
隣人と直接話し合う際には、自身の主張を裏付ける資料を提示しながら相手の言い分も聞き取ります。
合意が得られた場合、境界確認書を作成しましょう。
境界確認書を作成することで、再び境界をめぐるトラブルの発生を防止できる可能性が高まります。
相手方との間に意見の対立が生じた場合、自身の主張の正当性を確認するために法務局などで以下の書類を取得することを検討してください。
上記の資料は、境界を推測するための客観的なデータとなりえます。
書類上の確認だけでは境界が判断できない場合、土地家屋調査士に調査を依頼します。
土地家屋調査士は、法務局の資料や現地の工作物などを基に本来あるべき境界の位置を特定します。
境界標が紛失している場合でも、周囲のデータから元の位置を導き出すことが可能です。
境界線が確定した結果として隣家の工作物や植物が自分の敷地にはみ出していることが判明した場合には、自身で撤去できる可能性があります。
具体的には、隣地の樹木の枝が越境しており、催告をしても相当な期間内に切除されないときなどに自身で境界を越えている部分を切ることができます。
切除にかかった費用は相手に請求できる場合もありますが、事前の通告と誠実な交渉が重要です。
一方で、建物の構造物が越境している場合、取り壊しを要求することは現実的ではありません。
このようなときは、将来建物を建て替える際には境界内に収めるという内容の合意書を交わすことが一般的です。
書面を交わしておくことで、土地を売却する際にもトラブルのない物件として扱うことができます。
話し合いが決裂した場合には、ADRを利用する選択肢があります。
ADRとは、裁判によらずに中立的な第三者を交えて話し合いで解決を目指す制度です。
裁判に比べて費用が安く、手続きが非公開で行われるというメリットがあります。
各地の土地家屋調査士会や弁護士会が運営する境界問題相談センターが相談窓口となります。
相手方が話し合い自体に応じない場合には、法務局が提供する筆界特定制度の利用が効果的です。
筆界特定制度とは、外部の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、筆界特定登記官が筆界を判断する制度です。
主な特徴は、隣人の承諾がなくても手続きを進められる点にあります。
法務局が職権で調査を行うため証拠力が高く、後に裁判になった際に有力な証拠となります。
土地境界トラブルが起きた場合の訴訟には、境界確定訴訟と所有権確認訴訟があります。
境界確定訴訟とは、筆界の場所を裁判所に決めてもらうものです。
一方で、所有権確認訴訟は所有権の範囲を確定させるためのものです。
裁判での解決には費用と時間が必要となることに注意が必要です。
また、強制的な判決を下すものであるため、隣人との関係は悪化する傾向にあります。
今回は、土地境界トラブルの原因と対処法について解説しました。
境界に関する争いは近隣の住民との人間関係に影響を及ぼしやすいため、慎重な対応が求められます。
土地の境界をめぐってトラブルが生じた場合には、早めに弁護士に相談してください。