弁護士 新 英樹(久米法律事務所)

刑事事件の流れ

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刑事事件の流れとしては、犯罪の発生から、
①被害者・目撃者などの通報、捜査の開始
②捜査機関による捜査
③被疑者の逮捕
④送検
⑤勾留
⑥起訴
⑦刑事裁判
⑧判決
となります。以下で流れに沿って詳しく説明していきます。

刑事事件については、犯罪を目撃した人が通報する、被害者が被害届や刑事告訴をすることなどによって、捜査機関は犯罪を認識し、捜査を開始していきます。また、通報などがなされなくとも警察による職務質問や検問により犯罪が発覚することもあります。

捜査が開始されると、警察などの捜査機関は、実況見分、目撃者や周辺住民への聞き込みなどにより被疑者を特定していきます。捜査の中には被疑者を含め取調べも含まれています。またいつか

捜査を経て、罪を犯した者が特定され、その者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されると被疑者は逮捕されます。逮捕とは、捜査機関による身柄の拘束であり、逮捕されている間は家族との面会すら許されないことが多くなっています。

逮捕が身柄拘束であり、権利侵害の度合いも強いものであることから、逮捕からは法律により厳格に時間が決められています。
まず逮捕後48時間以内に、事件の証拠などとともに被疑者の身柄が検察官へと送致されます。このことを送検と呼び、送検された後も検察官が起訴するか否かの判断のために取り調べが行われます。
送検後24時間以内に検察官は被疑者を釈放するか勾留という形でさらに身柄拘束を続けるかの判断をしなければなりません。勾留するには、逮捕と同様に被疑者の身柄を拘束する理由が必要となります。また勾留期間に関しても10日以内の範囲で裁判所に請求することができますが、裁判所に不必要と判断されると日数が削減されたり却下されたりします。さらに10日以内の範囲で勾留延長が可能となっていますが、再び裁判所へ請求し、許可を得なる必要があります。

勾留期間中に、検察官は被疑者を起訴するかの判断を行います。起訴とは、被疑者を刑事裁判にかけるよう検察官が裁判所に請求することを指します。刑事裁判においては疑わしきは被告人の利益にという考えの下、確実に被告人(起訴された被疑者のこと)が罪を犯したという証拠がなければ有罪とはなりません。そのため検察官も確実に被告人の罪を立証できる場合にしか起訴せず、日本の刑事裁判の有罪率は99%を超える高い水準なのです。

また起訴について、一般的な公開の法廷の刑事裁判を求める公判請求とは別に、簡易裁判所において検察官が提出する証拠のみを基に裁判を行う略式手続というものもあります。被告人は公開裁判を受ける権利を有していると憲法に記されていますが、この略式手続はその例外的として、100万円以下の罰金または科料という比較的軽微な事件において、被告人が公開裁判を受けないことに同意している場合に限り認められています。

略式手続を除き、起訴されると公開法廷で刑事裁判が行われます。裁判の期間としては、自白事件では1回の公判のみで終了し、起訴から2か月から3か月程度で判決を迎えることが多くなっていますが、否認事件では複数回の公判が開かれ、長い時には判決までに1年以上かかることもあります。
判決が言い渡されると2週間以内に控訴などにより不服を申し立てなければ、判決が確定します。判決の内容によってはそのまま服役したり、釈放されたりすることとなります。

以上が刑事事件の中でも逮捕がなされる身柄事件の一般的な流れですが、身柄拘束がなされずに適宜被疑者を警察・検察が呼び出すなどして取り調べを行う在宅事件もあります。刑事事件と聞くと逮捕を想像する人が多いですが、実際には身柄事件よりも在宅事件の方が多いとされています。
在宅事件では上記の①から⑧の流れの内、身柄拘束に当たる③の逮捕や⑤の勾留がなされないこととなりますが、被疑者に証拠隠滅のおそれがあるなどとして、在宅事件が途中で身柄事件へと変わり逮捕されることもあります。

刑事事件では、その時々に合わせて適切な対応を取る必要があります。具体的には、任意で捜査を受けている段階では、悪影響の大きい逮捕を行わず在宅事件として扱うよう主張する、あるいは早期の解決を目指して被害者との示談交渉を行うことが挙げられます。また、逮捕されてしまった場合には被疑者に有利な証拠を収集し身柄解放を求め、勾留請求された場合には却下を求めるなどの対応が考えられます。こうした活動は弁護士でなければ難しいものもあり、被疑者や被告人が有利な処分を得るためにも、できるだけ早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談することが大切です。

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