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刑事事件と民事事件との違い

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法律の世界は複雑で、その中でも刑事事件と民事事件は、我々の生活に直接的な影響を及ぼす重要な部分を占めています。
これら二つの事件は、その性質、目的、手続き、そして結果において大きく異なります。
この記事では、これらの違いを明確に理解し、それぞれの事件がどのように進行するのか、また、それぞれの事件にどのように対処すべきかについて詳しく解説します。

刑事事件と民事事件の違いについて

刑事事件は、犯罪行為に対する法的な対応を扱うものであり、警察や検察が関与します。
一方、民事事件は、個人や団体の権利や利益に関する紛争を解決するための法的手続きです。
刑事事件は犯罪者に対する罰則を求める一方、民事事件は損害賠償や契約違反などの問題を解決することを目的としています。

 

項目

刑事事件

民事事件

定義

犯罪行為に関連し、刑事法に基づく訴追が行われる手続き

個人間の法的な紛争を解決するための手続きであり、主に財産権に関する紛争を扱う

当事者

国(検察官)vs被疑者・被告人

個人(個人・法人)vs個人(個人・法人)

目的

社会の秩序を維持し、犯罪者に対して刑罰を科すこと

権利の主張や賠償を得ること

証明の厳格さ

無罪推定の原則に基づき、有罪を証明する必要がある

裁判所の裁量に委ねられ、高度の蓋然性が認められる程度で証明できればよい

和解の可否

和解なし

和解により解決可能

手続きの流れ

・地方裁判所で裁判が行われる
不服があれば控訴して高等裁判所に移る
・高等裁判所での判決にも不服があれば、最高裁判所で最終の裁判が行われる

・裁判官が当事者双方の言い分を聞いたり、証拠を調査したりする
・判決を下して紛争を解決する

 

このように、刑事事件と民事事件は異なる法的観点から取り扱われます。

刑事訴訟と民事訴訟の目的の違い

刑事訴訟の目指すところは、社会の安全と秩序を保ちつつ、個々の基本的な人権を尊重し、事件の実情を解明し、そして法律に基づく罰を適切かつ速やかに適用することです。
対して、民事訴訟は、私人間の紛争を解決し、被害者の損害を回復することを目的としています。

刑事事件の特徴と手続き

刑事事件手続きの流れと、その特徴について簡単に解説していきましょう。

刑事訴訟の流れ

刑事事件の手続きは以下の通りです。

 

  1. 捜査
  2. 起訴
  3. 裁判
  4. 判決

捜査

起こった事案に対し、まずは警察が捜査を開始します。
証拠や証言の収集、化学的な検査の結果、犯罪に加担した嫌疑があると警察が判断した場合、逮捕されます。
警察は逮捕後48時間以内に事件を検察に送致します。
検察は警察から送致された後、24時間以内に勾留するかどうかを決め、裁判所に対し勾留請求を行います。
裁判所は被疑者との面談を行う等して、勾留が妥当と判断した場合には勾留が決定します。

起訴

起訴とは、公訴の提起といって検察が裁判所に刑事裁判の請求を行うことを指します。
起訴すべきかどうかを判断するのが検察のみが持つことのできる権利です。
勾留中に検察は警察に協力しながら、被疑者との事情聴取など捜査します。
起訴するかどうかは嫌疑がかかっている罪の重さや被疑者の態度、また被害者の被疑者に対する処罰感情などさまざまな要素で判断されます。
起訴された場合、被疑者は被告人と名称が変わります。

また裁判までに逃亡、証拠隠滅などの疑いがあるときには引き続き勾留されます。
なお、不起訴となった場合はこの場で釈放され、容疑者ではなくなり前科もつきません。

裁判

検察に起訴されると、刑事裁判へと進みます。
裁判から判決を受けるまでの期間は、被告人が罪の認否を認めているかどうか、また事件の複雑性によって大きく異なります。
被告人が罪を認めていない事件のことを否認事件といい、罪を認めている事件を認容事件といいます。
一般的に否認事件は裁判開始から判決までの時間が長く、認容事件は否認事件よりも短いといわれています。

判決

刑事裁判の結果、裁判官は被告人に対して有罪または無罪の判決を下します。
有罪の場合、刑罰が決定され、無罪の場合、被告人は釈放されます。

民事事件の手続きの流れ

民事事件は私人間の紛争のことをいいます。
民事事件の場合、基本的には当事者同士の話し合いで解決を目指します。
当事者間の話し合いでは解決しない場合は、民事調停、民事訴訟と発展していきます。
民事訴訟に発展した場合の流れを簡単に解説しましょう。

訴訟の提起

民事訴訟は、原告が裁判所に訴状を提出することで始まります。訴状には、訴えの理由と求める救済を明記します。
この段階で、原告は訴訟を起こす法的根拠と、被告に対して何を求めているのかを裁判所に示さなければなりません。

審理

審理では最初に「口頭弁論」が行われます。
原告側には立証責任が生じますので、原告側は訴状と立証すべき証拠書類などを裁判所に提出します。
口頭弁論とは、裁判所に提出した訴状の内容に間違いがないかを確認するものです。
この訴状に対し、被告側は反証を準備して答弁書を裁判所に提出します。
この答弁書に対しても口頭弁論が行われます。
その後、証人尋問や口頭弁論、弁論準備などが複数回繰り返され、裁判官が判決を出すのに十分な証拠・証人が揃った時点で判決に進んでいきます。

判決

証拠が提出された後、裁判官はそれらの証拠を検討し、両当事者からの主張を聞きます。
この過程で、裁判官は証拠の妥当性や関連性を評価し、法律に基づいて判決を下します

まとめ

刑事事件と民事事件は、その性質と目的において違いがあります。
刑事事件は、社会の秩序や安全を守るために、国が犯罪者に対して罰を科すことが目的です。
一方、民事事件は、個々の権利を保護し、紛争を解決することを目的としています。
いずれの事件においても、重要なのは法律を理解し、しっかりと対処することです。
とはいえ、これは一般の方が個人で対処するには限界があります。
刑事事件や民事事件に巻き込まれてしまった場合は、何より弁護士に相談するのが重要です。
弁護士にも得意分野というものがありますので、刑事事件の場合は刑事事件に強い弁護士を探すといいでしょう。