弁護士 新 英樹(久米法律事務所) > 記事コンテンツ > 相続手続きの流れについて期間別に解説
被相続人が亡くなってから、矢継ぎ早に相続手続きを行わなければなりません。
この記事では、相続手続きの流れについて解説します。
遺産を相続する場合は、内容によって手続きの猶予期限が異なるので期間別に詳しくみていきましょう。
被相続人が亡くなってから7日~14日以内に行う手続きは以下の8つです。
被相続人が亡くなった当日に死亡診断書を病院で受け取り、管轄の役所に死亡届を提出して火葬許可証を取得します。
火葬場で無事に火葬を終えると埋葬許可証を取得できます。
ここまでは葬儀業者に依頼すれば、業者の方に代行してもらえるケースがあります。
無事に葬儀や火葬、埋葬(後日でも可)が終わると、次は年金や介護に関する手続きを済ませます。
被相続人が世帯主の場合は世帯主変更届の手続きを役所で行います。
以上の手続きは、被相続人が亡くなったことを証明するために必要な作業です。
被相続人が亡くなってから3~4カ月以内に以下に記した7つの手続きを行います。
ここからが本格的な相続に関する手続きです。
まず、遺言書の有無を確認しますが、探す際には自宅以外にも公証役場に保管している可能性があります。
公証役場に保管している場合は証人が2人以上いるはずなので、被相続人の親族や親しかった知人などにも確認することをおすすめします。
遺言書が見つかったら、検認の手続きを行います。
検認とは、裁判所に遺言書の検認手続きの申し立てを行い、裁判官に開封してもらうことです。
遺言書が見つかったからといって、勝手に開封すると罰則が科せられるので注意してください。
次に役所で被相続人の戸籍謄本(出生から死亡時までが記載されているもの)を取得して相続人を確定します。
それと同時に遺産を調べて、すべてを洗い出して遺産を確定します。
相続人と遺産が確定したら、すべての相続人を集めて遺産分割協議を行い、全員が合意した内容に基づき、遺産分割協議書を作成します。
その際、相続放棄・単純承認・限定承認の3つの内からどれか選択します。
相続の開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければ、すべてを相続することになるので、借金や負債があるから相続を放棄したい場合は必ず期限内に行ってください。
誰がどの財産を相続するのか確定したら、相続人は各々手続きを行います。
また、被相続人が確定申告者だった場合は、相続人が被相続人の代わりに確定申告を行う必要があり、これを準確定申告と言います。
被相続人が亡くなってから、10カ月以内に以下の手続きを行います。
相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に申告しなければなりません。
もし、期限を過ぎたり、申告しなかったりしたときには、加算税や延滞税がかかる場合があるので注意が必要です。
被相続人が亡くなってから1年以内には以下の手続きを行います。
遺留分侵害額請求の期限は1年以内となっており、自分の相続分が他の誰かに侵害されている場合は期限内に請求申請を行ってください。
遺留分侵害額請求とは、法定相続人が一定の割合で最低限もらえる相続財産を主張できる権利です。
被相続人が亡くなってから3年以内に以下の手続きを行ってください。
相続登記とは、遺産の中に不動産が含まれていた場合に、不動産の名義を被相続人の名義から相続人の名義に変更する手続きです。
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、以下に違反した場合は罰則が課せられるので注意してください。
また、前述の期日以前に相続している場合も義務化の対象となっており、2027年3月31日まで猶予期間があるので該当する場合は早めに手続きすることをおすすめします。
ただし、義務化の開始前に相続している際には、手続きを行わない場合も罰則が科せられるので気をつけてください。
今回は、相続手続きの流れについて解説しました。
相続手続きは、被相続人が亡くなった直後から必要書類の準備は始まっており、手続きの種類によって期限が異なります。
特に相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内と定められており、早めに対応しておかなければ間に合わない可能性があります。
また、相続に関することでお困りの際には、相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。