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浮気・不倫相手が弁護士をつけてきた場合の対応方法

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パートナーの浮気や不倫に悩んでいると、突然、相手側から弁護士を通じて連絡が来ることがあります。
弁護士が関与すると、対応に戸惑う人が多いかもしれません。
今回は、浮気・不倫相手が弁護士をつけてきた場合の正しい対応方法を解説します。

浮気・不倫相手が弁護士をつける理由とは

不倫相手が弁護士に依頼するのには、さまざまな事情が考えられます。
多くの場合は、慰謝料の請求を受けた側として、「正当な主張をしたい」と考えているためです。
弁護士をつける目的としては、以下のようなものがあります。

  • 慰謝料の金額が不当だと主張するため
  • 婚姻関係の破綻を事前に知っていたと反論するため
  • 不倫ではなく「誤解」だと主張するため
  • 名誉毀損や脅迫など、逆に訴える姿勢を見せるため

相手が弁護士を立ててきた場合は、単に「支払いを拒否したい」だけではなく、こちらの行動を牽制する意図も含まれている可能性があります。

弁護士から連絡が来た場合の基本的な対応

突然、弁護士名義の手紙やメールが届くと、不安や恐怖を感じるかもしれません。
しかし感情的になって即答するのではなく、冷静に内容を確認するのが重要です。
以下のポイントを押さえてください。

  • 内容証明郵便やメールの内容を確認する
  • 直接連絡は避ける
  • 弁護士に相談する

それぞれ確認していきましょう。

内容証明郵便やメールの内容を確認する

まずは、弁護士からの通知に何が書かれているかを確認してください。
多くの場合、以下のような事項が記載されています。

  • 慰謝料を支払う意思があるか(金額や支払時期など)
  • 慰謝料請求への反論内容
  • こちらの言動が名誉毀損に該当するとする主張
  • 今後一切の接触を禁止する旨の要求
  • 法的手続きを取る可能性の示唆

まずは事実関係を落ち着いて整理しましょう。

直接連絡は避ける

相手の弁護士から連絡があっても、本人に直接連絡を取ることは控えてください。
法的なやりとりは、すべて書面で残すのが重要です。
電話やSNSなどで感情的なやりとりをしてしまうと、思わぬ形で不利になる場合があります。

弁護士に相談する

不倫の被害者でも、法的なやりとりを自分だけで対応するのは大きな負担です。
相手が弁護士をつけてきた時点で、基本的にはこちらも法律の専門家に相談するのが無難です。
無料相談などを活用して、早めにアドバイスを受けてください。
弁護士を立てれば、法的に適切な反論をしやすくなり、交渉をスムーズに進められます。

弁護士が主張してくる「反論パターン」とその対処法

不倫相手の弁護士は、こちらの慰謝料請求に対して、さまざまな反論を行ってくる可能性があります。

「相手が既婚者だと知らなかった」と主張された場合

不倫相手が「既婚者だとは知らなかった」「結婚していることを隠されていた」と主張するケースもあります。
「故意がなかった」として、慰謝料責任を回避しようとするものです。
ただし既婚者だと知らなかったとしても、家族の話題が日常的に出ていたなど「既婚を疑うべき状況」があれば、過失があるとして慰謝料請求が認められます。
相手が既婚を知っていた、または注意を払えば容易に認識できたと示す証拠(SNS上のやりとりやメールなど)があるかどうかが重要です。

「既に婚姻関係が破綻していた」と主張された場合

相手は「交際当時、あなたの夫婦関係は既に破綻していた」と主張することがあります。
婚姻関係が破綻していれば、不倫とはみなされない場合もあるという理屈です。
しかし実際に夫婦関係が継続していた証拠(同居していた、家計を共有していた、会話や旅行の記録など)を示せば、それが反論になり、慰謝料を請求できる可能性があります。
特に、別居していたかどうかは、夫婦関係を考えるうえで重要な基準です。

「不倫ではなくただの知人関係」と主張された場合

不倫の事実を否定するため、「単なる友人だった」「肉体関係はなかった」と主張するケースもあります。
しかしこちらも、LINEやメールのやりとり、一緒に泊まった記録などの証拠があれば反論できます。

「無理やり誘われた」と主張されるケース

不倫相手が「関係を持ったのは、そちらに強引に誘われたからだ」と反論してくることがあります。
つまり、自分は被害者であり、自発的に不倫関係を築いたのではないという立場です。
このような主張に対しては、以下のような対応が必要です。

  • 相手が自発的に関係を続けていた証拠
  • 合意のうえで関係が続いていたと示せる資料
  • 一方的な誘いではなく、相手も積極的だったことを示す証拠

仮に相手が「無理やりだった」と主張していても、実際には対等な関係でやりとりが続いていた場合、その主張の信頼性は下がります。
浮気・不倫に関するやりとりは、「証拠があるかどうか」がとても重要です。

慰謝料請求を継続したい場合に注意すべき点

不倫相手が弁護士を立ててきたからといって、慰謝料の請求を諦める必要はありません。
正当な根拠と証拠があれば、法的に認められる可能性は十分あります。

法的根拠があるかどうかを確認する

一般的に慰謝料請求が認められるためには、以下のような要件が考慮されます。

  • 相手に配偶者がいることを知っていた
  • 肉体関係があった
  • 婚姻関係に悪影響を与えたことが明らか

上記を満たしていれば、弁護士が相手でも請求は可能です。

証拠を整理する

訴訟になった場合、裁判所が重視するのは証拠です。

  • 不倫を示す写真や動画
  • SNSやメール、LINEの記録
  • 探偵の報告書
  • 夫婦関係が破綻していなかった証拠(家族写真や生活記録など)

自分の主張を裏付けるため、上記のような資料を準備しておきましょう。

示談を検討してみる

長期的な争いを避けたい場合は、示談を成立させるという選択肢もあります。
慰謝料の金額や条件に合意すれば、裁判を回避でき、精神的な負担も軽くなります。

まとめ

浮気・不倫相手が弁護士を立てたとしても、こちらが被害者であり、慰謝料を請求する正当な権利があることには変わりありません。
ただし、感情的な対応や、軽率な発言が不利に働く可能性もあります。
冷静に状況を整理し、できるだけ早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。