弁護士 新 英樹(久米法律事務所) > 記事コンテンツ > 契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いも併せて解説
不動産を購入した後に雨漏りやシロアリ被害が見つかった場合、売主に対してどのような請求ができるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
現在の民法では契約不適合責任として売主の責任が規定されており、以前の瑕疵担保責任から内容が変更されています。
今回は契約不適合責任の基本的な内容と、瑕疵担保責任との違いについて解説します。
契約不適合責任とは、売買契約において引き渡された目的物が種類・品質・数量の面で契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
民法第562条から第564条などに規定されており、債務不履行責任の一種として位置づけられています。
不動産売買においては、購入した建物に雨漏りがあった場合や、土地の面積が契約時の説明より少なかった場合、シロアリ被害があった場合などが該当します。
契約内容に適合しない状態で引き渡されたときに、買主はさまざまな権利を行使できる仕組みとなっています。
この制度により、買主は不動産取引において生じた不具合について、適切な救済を受けることが可能です。
瑕疵担保責任とは、以前の民法において旧民法第570条に規定されていた制度です。
売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合に、売主が買主に対して責任を負うという内容でした。
ここでいう「隠れた」とは、買主が通常の注意を払っても発見できなかった欠陥を指します。
瑕疵担保責任も契約不適合責任も、不動産取引などにおいて売主の責任を追及し買主を保護する点では共通していますが、法的な性質は異なります。
不動産取引において、購入後に判明した建物の欠陥や土地の問題について、売主に責任を負わせることで買主を保護する制度として機能していました。
契約不適合責任と瑕疵担保責任は、売主の責任を追及する点では共通していますが、いくつかの重要な変更点があります。
以下では、買主の権利内容、認識要件、権利行使期間の3つの観点から違いを説明します。
瑕疵担保責任のもとでは、買主が行使できる権利は損害賠償請求と契約解除のみでした。
これに対し、契約不適合責任では買主の権利が大幅に拡充されています。
具体的には、追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、契約解除権の4つの権利を行使できるようになりました。
追完請求権とは、修理や代替物の引渡しを求める権利であり、不動産の場合は主に修理を請求することになります。
代金減額請求権は、不適合の程度に応じて代金の減額を求める権利です。
不動産売買において雨漏りが見つかった場合、まず修理を請求でき、売主が応じない場合には代金減額を請求できるようになったことは、買主にとって大きなメリットといえます。
瑕疵担保責任では隠れた瑕疵であることが必要でした。
これは、買主が知らなかったこと、かつ知らなかったことに過失がないことが要件であったことを意味します。
買主が少しでも気づいていた場合や、注意すれば気づけた場合には、責任追及ができませんでした。
これに対し、契約不適合責任では買主が善意無過失であることは要件とされていません。
契約内容に適合していないことが要件となるため、買主が善意無過失でなくても責任追及が可能になりました。
この変更により、買主の立証負担が軽減され、より柔軟な権利行使が可能になりました。
瑕疵担保責任では、買主が事実を知った時から1年以内に権利を行使する必要がありました。
1年以内に損害賠償請求や契約解除などの具体的な権利行使をしなければ、権利が消滅してしまう仕組みでした。
契約不適合責任では、不適合を知った時から1年以内に売主に対して通知すればよいとされています。
通知をした後は、消滅時効の一般原則に従い、5年または10年の期間内に権利行使すれば問題ありません。
この変更により、実質的に権利行使期間が延長されたことになります。
不動産取引においては、不具合の修理に時間がかかる場合や、交渉が長期化する場合もあるため、買主にとって有利な改正といえます。
不動産売買において契約不適合となる事例はさまざまです。
物理的な不適合としては、雨漏り、シロアリ被害、土壌汚染、地盤沈下などが挙げられます。
これらの場合、買主は修理を請求したり、修理費用相当額の代金減額を求めたりすることができます。
数量の不適合としては、実測面積が登記簿面積より少ない場合や、境界が契約内容と異なる場合などがあります。
この場合、不足分に応じた代金減額請求が可能です。
法的な不適合としては、建築基準法違反の建物や接道義務を満たしていない土地などが該当し、建て替えや増築に制約が生じることから重大な問題となります。
権利の不適合としては、抵当権が設定されていた場合や賃借権が設定されていた場合があり、完全な所有権を取得できないため契約解除や損害賠償請求の対象となります。
契約不適合責任を追及する際には、いくつかの注意点があります。
まず、不適合を知った時から1年以内に売主に対して通知することが必要です。
不適合を発見したら速やかに売主に通知し、証拠を残すために内容証明郵便を利用することが望ましいといえます。
また、契約書に特約が定められている場合、売主の責任が制限されていることがあります。
ただし、売主が不適合の事実を知りながら買主に告げなかった場合には、責任を免除する特約は効力を持ちません。
不動産を購入する際には、契約内容を十分に確認することが重要です。
契約書の条項だけでなく、物件状況確認書などの書類もしっかりとチェックし、不明な点があれば購入前に確認してください。
今回は契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いについて解説しました。
契約不適合責任は、売主の責任を追及する点では瑕疵担保責任と共通していますが、買主の権利が拡充された制度です。
不動産購入後にトラブルが発覚した場合には速やかな対応が必要となります。
契約不適合の判断や売主との交渉、権利行使の方法については専門的な知識が求められます。
トラブルが生じた場合や不動産購入時の契約書確認については、久米法律事務所にご相談ください。